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2006.08.27

IAUの太陽系惑星の定義確定について

2006年8月24日、14日よりチェコの首都・プラハで開催されていた、国際天文学連合 (IAU) 総会において、太陽系惑星の定義が確定されました。

現地時間で午後二時、日本時間午後九時から全体会議が開かれ、総会に出席した約2500人の科学者全員による投票により、午後三時半過ぎ(日本時間午後十時半頃)に新定義が採決・確定されたのです。

この定義により、太陽系惑星は水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の八個となり、冥王星はそこからはずれ、「矮惑星 (dwarf planet)・仮称」という新カテゴリに属することになりました。

(時間などの情報ソース:毎日新聞 2006年8月25日 東京夕刊

この定義が確定する前は、セレス、キロン、カロン、2003 UB313(仮称ゼナ)を惑星に加え、合計12個に惑星を増やすという案が上がっていたのは記憶に新しいところです。

それを聞いて、私は無理のある案だと思っていました。セレス、キロン、仮ゼナはともかく冥王星の衛星カロンまで何故?二重惑星としての扱いでいいのでは。というよりやはり全体的にゴリ押し感がありすぎるこの案、明らかに政治的策略のにおいがしました。

冥王星の惑星としての位置づけには、発見国・アメリカの威信がかかっている。冥王星を無理やり惑星として存続させるために、つじつま合わせの苦肉の策として考えられた案だったのでしょう。

当然のことながら科学者たちからは猛反発をくらったようで、22日の会議は罵声飛び交う騒然とした状況だったそうです。

一国の思惑に愚弄されてたまるか。という科学者たちの怒りがそこまでの事態を引き起こしたのでしょう。そしてその反動が、発案者の思惑に反して、冥王星を惑星から外すという決断への弾みともなったに違いありません。

ということで、冥王星は惑星として外れたわけですが、そのことに対しての、現時点での私の見解と、決定時チャートから導かれる分析をここで明らかにしたいと思います。


●地球人にとっての惑星とは

すいきんちかもくどってんかいめい。
星を覚えるのにあまりにも有名な語呂合わせですが、それにもあるように、近代日本の教科書には、ずっとこの順番が刻まれていました。
難しいことがよく分からなくても、惑星とは、太陽系という家族の地球の兄弟と人々は認識しているでしょう。

私は惑星という存在は、人類の意識階層に直結するものだと考えていました。近代は冥王星がそのもっとも外側にあり、人類が認識する太陽系、つまり意識の限界点を象徴していると。

しかしその理屈で言うと、今回の結果は、人間の認識する範囲から、冥王星を除外するというものになってしまいます。

占星術には年齢域という考え方があります。各個人が生まれたときに刻まれた、チャートの中でそれぞれの天体が主に活躍する時期のことですが、冥王星が担当するのは一説によると死後の世界といわれています。人間が活躍するもくそも、死んでしまった後のことをどうすれば。という感じですが、確かに実占では、先祖がらみとか何とも説明できないような因縁が絡んでくることの多い天体でした。

一方、同じ土星以遠の天体であっても、天王星・海王星はもう少し人間世界に近く、特に天王星海王星がみずがめ座に入ってからというもの、テクノロジーの急激な進化により、天王星を象徴するコンピュータやハイテク家電は当たり前のように生活に浸透し、その後うお座に天王星が入ってからは海王星とはミューチャルレセプションになり、海王星を象徴するスピリチュアル世界にも改革が入り、新聞に普通にアロマや癒しといった言葉が並ぶようになりました。

冥王星は1990年代に発見されれば惑星にはならなかった。という言葉が今回の会議で出たそうですが、当然です。天王星・海王星が、ここまでテクノロジーを進化させたからこそ、エッジワース=カイパー・ベルト天体(Edgeworth-Kuiper Belt Object、略してEKBO)が大量に見つかったのですから。

それよりはるか昔、水星よりも小さな天体が、一人の研究者の根性の一念だけで発見された。それこそが冥王星自体の性格を暗示し、その特異性を示しているのですが、所詮科学といっても人間の小さな定義に押し込めようとしても無理な話で、常識が通用しない冥王星は、惑星としての地位を奪われてしまいました。

個人的には、決議の知らせを聞いて私は怒りを禁じ得ませんでした。結局人間というものは、自分の認識範囲以外のものをこうやって除外するのか、と。十二個に惑星が増えると聞いたとき、私は少し期待したのは、改たな意識の広がりが人類に起こるのではないかと思ったのです。しかし結果は、逆に後退でした。人間は退化したのだな、と、嫌な気分になったのです。

しかし、改めてチャートを見て、記事を読み、分析すると、違うものが見えてきました。


●冥王星は自らの意志により惑星地位を返上した?

採決時のチャートを見ると、一ハウスに冥王星が入っている。この決議自体は冥王星の意志であることを示しています。私はこのチャートを見てまず最初に考えたことは、冥王星は自ら惑星という地位を返上したのだ、ということでした。

正確な時間は分からないものの、アセンダントは射手座前半の、ぶっ飛んでいるくらい最も知性が研ぎ澄まされている度数あたりです。

そのチャートを元に今後の展開を予想していきます。

冥王星と、アセンダントのルーラーである木星は、現在蠍座にあり、冥王星とミューチャルレセプション。
11ハウス(国際社会)において、獅子座土星、金星、水星と、水瓶座海王星から、それぞれスクエアという否定のアスペクトで傷つけられ、迷走しています。

今回の決定は国際社会では批判を浴びるでしょう。古くからの慣習、文化、人々の愛着に逆らって、科学者たちの投票によって強引に決定されたからです。しかしその批判も、結果的には常識という十字架の元に埋め込まれ、封じられます。

しかし逆に人々は、冥王星の存在を強く感じるのです。一種の象徴として輝くのか、逆に軽んじられ非難されるのか。どちらにしても発見以来、今くらいあの目に見えないくらい小さく遠い星に、人類の意識が集中する時はなかったでしょう。


●惑星地位返上は冥王星のアメリカとの決別を示している

冥王星が惑星として発見されたのは1930年2月18日、アメリカ。
再度の世界大戦を予感させる時代のうねりの中、米国人たちの熱狂的大歓迎の元、太陽系の家族として迎え入れられたのです。

その後、世界は大戦へと導かれ、アメリカが発見した冥王星が象徴する核兵器を、世界で初めて武器として使ったのもまた、アメリカでした。

それからの地球は良くも悪くも、アメリカという一国の意志によって振り回された歴史をたどったといっても過言ではないでしょう。

テクノロジーの急激な進化により、冥王星の大きさや質量が明らかにされ始め、EKBOに同クラスの天体が多数発見され、惑星としての地位に疑問の声が上がってもなお、強大なスポンサーであるアメリカへの配慮から、冥王星が惑星の座から降りることはありませんでした。

冥王星が太陽系の惑星として存在するためには、アメリカとの関係性が切っても切れないものとなっていたのです。

実際、トランシットを見ていても、チャート上で冥王星を象徴しているのはアメリカ、というケースがであることが多かったようです。

冥王星は惑星という狭い常識の範疇からはずれることで、アメリカとの関係からも外れようとしたのでしょう。また、核の支配権をアメリカから取り上げようとしたのかも知れません。

実際この決議と同時期に、イランへの核開発問題が拡大しています。イランは核開発中止を拒否し、アメリカの干渉に対してノーを言っています。
アメリカの干渉により太陽系そのものを支配しようとしたゴリ押し案に対して、ノーをつきつけた今回の決定に似ています。

●今回の決定は山羊座冥王星時代への布石

報道によりますと、IAU総会に日本代表として出席した海部宣男元国立天文台長は、24日の会見で、教科書の記述変更は08年度以後とするよう、日本学術会議として政府に要望する考えを表明しています。

日本における教科書書き換えは2008年。
山羊座冥王星時代の開始と同時期です。

一部の説として、山羊座冥王星時代に入った直後は、あたかも時代が逆行したかのような現象が起こるというものがありますが、今回のことはその時代の布石になるのかも知れません。

常識という範囲で収まらないものは排除の方向。射手座冥王星で無軌道に拡大したことへの反動として、逆に伸びすぎた枝葉を容赦なくカットする方向で時代は流れていくのでしょう。


●トランス・ネプチュニアン天体という新しい概念こそが今回のキモ

そこで常識とは何かという疑問が出てきます。
実は常識とは、そんなに強固なものではないということを今回の決議は意味しています。

確かに大切だし個人の力でどうすることも出来ない重いものですが、時代の流れによりあっさりと変動するのが常識というものなのだと、今回の件で人々は実感するでしょう。

そして実は最も大切なことは、トランス・ネプチュニアン天体という新しい概念が、常識の最たるものである教科書に刻まれるであろうということです。

占星術にはトランスサタニアンという概念がありました。それも今後は、トランスネプチュニアンという概念に書き換わるでしょう。

なぜならば、人間の常識が、土星ではなく、海王星にまで拡大したからです。

それは人類にとって海王星を意識するということと同時に、そこを人類の境界と定めることで、その外側天体である冥王星を強く意識することにもつながります。

海王星がを象徴するのは夢、イメージ、無意識の世界、ファンタジー。形を無くして空間に溶け込む力。幻想。インスピレーション。曖昧、嘘。薬物・アルコールなどを示しています。映画やゲーム、バーチャルリアリティ、スピリチュアル世界も加わるでしょう。今までは社会として無用な存在だったそれらは、今や情報産業や癒し産業として十分に成立しています。

トランス・ネプチュニアンという言葉を見たとき、私は、人類の意識は後退したのではなく、むしろ進化したのだと気づきました。
つまり今回動いたのは、意識ではなく常識だったのです。目に見える土星から海王星まで常識が拡大されたという事が今回の出来事の本質であり、人類の意識のほうは、多数の天体の発見によりむしろさらに冥王星すら超えて拡大したといえましょう。

今後、明快で実際に触れるもの以外に、曖昧なものも重要な要素として人々は取り入れようとするでしょう。例えばカオス理論などがそれにあたります。
(カオス理論(Chaos theory)・・・決定論的な動的システムの一部に見られる、予測できない複雑かつ不規則な様子を示す現象を扱う理論)

社会常識に海王星が入り込むということは、今回のチャート上での土星と海王星のオポジションが象徴しています。このハードな改革を促しているのが、そのオポを調停している冥王星です。つまり冥王星は自分が惑星の地位を放棄することで、常識に海王星を入れ込むことを実現させたのです。


●2015年以後、再び冥王星は地位を改める

今年、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた無人探査機ニュー・ホライズンズ (New Horizons) は、人類初の冥王星探査機です。

予定では2015年に冥王星に到着することになっています。

おそらく到着以後に、冥王星のベールが剥がされることで、また大いなる発見があり、冥王星の地位は改められるでしょう。

それまで私たちは、この時代の変革期において、常識とそれの外側の両方を、冷静に客観的に見つめ続けていく必要があるでしょう。


●占星術における冥王星の位置づけ

術を使う私個人のスタンスとしては、重要な感受点として今後も冥王星を判定要素に加えていきます。ただし、人類の常識が書き換わった今、以前と同じ読み方をしていくのは愚の骨頂であることには間違いありません。

今回はつくづく、ミューチャルレセプションということを考えさせられました。

以前当ブログで、冥王星と蠍座木星のミューチャルレセプションについて述べました

その時私の発言を引用します。

木星は射手座のルーラーですので、蠍座に木星が入るということは、現在射手座にある冥王星とミューチャルレセプションになるということ、つまり木星がモロに冥王星と同じ存在になるということだと思うのです。

この発言は一部で批判されたようです。
確かに不勉強かつ不正確な発言です。お詫びして修正します。

私としても冥王星と木星が同じになると思っているわけではありません。存在が同じというよりは、意志の同調が起こるというか、木星の拡大行動に冥王星の意志が入っているということを言いたかったのです。射手座に冥王星が入ってからというもの、すでに木星にはその傾向がありましたが、それがあからさまに強調されるのだと。

実際、今回もはっきりとその現象があらわれていたのではないでしょうか。

冥王星が惑星であろうとなかろうと、こうやってリレーションは行われていくのは間違いないでしょう。現代社会にはノーと言われても、今後も蠍座の支配星であることも変わりないと思います。

ただし、先ほども述べましたが、今後は占星術もトランスネプチュニアンという概念を組み込む必要が出てくると思います。というかそれを入れないと現実的な読み方が出来ないはずです。

古典派占星術のやり方は学として学ぶべきですが、そのやり方に固執していては、今後の発展はないでしょう。時代の進化とともに、占星術も進化すべきです。

海王星が社会常識となったということは、今後、占星術も復権することすら考えられるからです。

そのために、もっと学術的に研鑽する場所、受け皿を整備するのが、現在、星を読む私たちの責務となっていくであろう、と私は考え、目指すことを表明します。


●余談 冥王星とビーナストランシット

今回の決議は、冥王星というより太陽系の内と外という境界を人類が再認識することに繋がると思いますが、そこでふっと私は、以前取り上げた、ビーナストランシットの事を思い出しました。

http://www.kiss.ac/~wani/VenusTransit/index.html

今回のサイクルは2004年6月8日から2012年6月5日です。

ビーナストランシットが起こるとき、歴史ではいつも境界の扉が開き、外との世界の交流が始まりました。

つまり、今回は、太陽系という境界が開き、いよいよ外宇宙との交流が始まるということの前触れではないでしょうか。

そしてその鍵を握っているのが、太陽系の外郭カイパーベルトを統べる冥王星、近づきつつあるセドナ、2003 UB313なのかも知れません。


 


(以下 参考関連サイト)

国立天文台 アストロ・トピックス(233):(速報)太陽系の惑星の定義確定

国立天文台 質問5-8) 惑星の定義とは?

アストロアーツ 【速報】太陽系の惑星の定義確定

日本惑星協会(冥王星、惑星の座を失う!)

ザ・ナインプラネッツ日本語版(冥王星)

冥王星 - Wikipedia

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IAU第26次総会で冥王星が惑星の座から下ろされまして。 1930年に発見される [Read More]

Tracked on 2006.08.29 at 22:30

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